大竹克宏さん
愛知県出身。2018年4月、佐川町の地域おこし協力隊に着任。
自伐型林業を通じた、災害に強い道づくりの習得に向けて修行中。活動時間外には、農作業の手伝いなど積極的に地域に関わっている。
—協力隊の着任以前から、林業に携わっておられたとのことですが。
元々は出身の愛知県で工事の自営をしていたのですが、東日本大震災のボランティアに行った際に木こりの方と出会い、一次産業に興味を持ちました。特に山が良いなと日本中くまなく調べて、岐阜で林業を4年ほど。そこはいわゆる大規模型のもので、やり方に疑問を持ち始めていたところで自伐型林業を知りました。でも、林業を一から教えていただいた恩は忘れませんし、山の手入れが行き届いていない現状、大規模施業を否定する気持ちはありません。
—林業との出会いは運命的だけれど、動く前にはしっかりリサーチするタイプなんですね。自伐型って最近よく聞くので、日本中でやられているのかなというイメージですが・・
それが実際に調べてみると、佐川ほど自伐林業の環境が整っている地域って全国的にもとても稀なんです。町主導で民有林を集約して、小規模事業者への機械レンタルなど予算的なサポートもして……山も資金も持っていない自分にとって「ここしかない」と。
—他と比較して、条件の良さが明確だったわけですか。 実際に挑戦してみて、いかがでしょう。
自然を相手にした、スパンの長い仕事だなと改めて思います。当然ですが一本として同じ木はないし、じっくり時間をかけて山をつくることが綺麗な川と海の保全につながって、その土地も災害に強くなるので。協力隊としては、木を切るだけでなく、炭づくりや製材などの林業に関連した研修や資格の勉強もさせてもらっています。とても恵まれていますね。
—なるほど。ご自身で調べて、考えを深められたからこその説得力がありますね。ちなみに事前調査といったように、高知には何度か訪れたことが?
ないです、初めてでした(笑)
—おっと、現地調査はしない(笑)同じ山間とはいえ、岐阜と高知・佐川では地域性もきっと違いますよね。プライベートで、何か戸惑いとか、失敗したことは?
それが全くないんですよね、困ったこととかも特に。高知、というより佐川だからなのかもしれませんが、地域として人を受け入れる懐の深さがすごいと思います。自分のような外から来た人間が踏み入れるハードルが低い、むしろ地域の方が引き上げてくれるような感じです。
—わかります、高知のその風土。オープンだし、ウェルカムだし。でも大竹さんの場合、高知の風土だけでなくご自身の人柄もあるように思えます。初めてお会いしたんですが、なんかこう……仏様みたいです。
(笑)
実はインタビュー前にいただいていた質問項目の「自分にキャッチコピーをつけるなら?」に苦戦してて、周りの人にちょっと聞いてみたら、仏様っぽいと言われました。基本的に何でも断らないし、まず怒らないし……しかもこんな頭ですからね(坊主頭をなでながら)
—よっしゃ、「佐川の森のホトケ様」で行きましょう(笑)そこはかとないジブリ感ですが。
手を合わせていただくような人間じゃないですよ(笑) 若い時は、酒もタバコもパチンコもそれなりにやってましたし。ただまぁ、どこか後ろめたさがあって、ある日「やめよう!」と全部きっぱり。 それで移住してきたら、「酒飲まんのに高知へ来たが!?」ってびっくりされてしまいましたが。
—高知あるあるだ。でも、飲めない人、飲まない人が強要されたり、宴席に居づらかったり、というのはないんですよね。
そうですね、僕も飲みの席は好きなので楽しんでいます。そうした場で「佐川に住み続けたい」という気持ちを伝えると、地域の方にはとても喜んでいただけて。
—山の担い手としてだけでなく、地域の担い手としてすでに必要とされている! 最後に、今後の抱負をお願いします。
「儲けたい」という気持ちは特にないので、自分が食べていけるぐらいの稼ぎがあって、山が機能するように仕事ができればと思います。佐川は元々林業地ではなく、森林組合もない土地ですけど、だからこそ良い意味でしがらみがなく、新しい人が活躍する余地があるかなと。行政のサポートはずっと続くとは限らないですが、地道に、誠実に頑張っていれば地域の方がきっと見てくれているはずなので、例え方針や環境が変わっても大丈夫じゃないかなと。
—やっぱり、仏様だ……拝んでいいでしょうか。
「ちゃがまる」
意味:(機械や道具が)壊れる、故障する
例: このパソコン、まーたちゃがまりゆう……やっぱり、安物やきねえ。
(訳)このパソコン、また壊れてる……やっぱり、安物だからね。
大竹さんコメント:初めは全くわかりませんでした。なまってる、とかそういうレベルではなく、言葉として聞いたことがないですよね。
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HP:さかわ地域おこし協力隊Blog