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スキルと経験を武器に 目指せ“さかわのホームドクター”(佐川町)

  • 2020年2月10日

上川慎也さん

大阪府出身。2019年4月、佐川町の地域おこし協力隊に着任。

3Dプリンタやレーザーカッター等の機材レンタルや放課後発明クラブを運営する「さかわ発明ラボ」にて、ものづくりコンシェルジュとして活動。役場や地域、事業者から依頼されるデザインや企画のクライアントワークを主に手掛ける。

ミッション

  • さかわ発明ラボ ものづくりコンシェルジュ

ざっくりいうと…

  • 新進気鋭の建築士、齢(よわい)28にして田舎に飛び込む。背中を押したのは、なんともオトコマエ(?)な人。
  • 新時代のものづくりは、土佐の山中より出づる!? ワクワクの種が詰まった、さかわ発明ラボとは。
  • 田舎=高齢者ばかりと思うなかれ。仕事もプライベートも、若い移住者仲間とのつながりを通して楽しめる。

上川慎也さんにインタビュー (佐川町)

のっけから不勉強でごめんなさい、“自分でつけるキャッチコピー“にある、「ホームドクター」とは……?

ことばの通り、住宅のお医者さんのことです。実は高知って、日本でも住宅耐震化の先進地域なんですよ。移住前は兵庫で建築設計事務所に勤めていたんですが、この土地特有の木造建築も多く、建物を見て回るのが面白いし、仕事の選択肢も増えるなと思って。「耐震診断士」の資格をつい先日、取得しました。

へえ、そんな資格があるんですね! でも、バリバリの建築士だったのに、そのキャリアを離れるのに迷いはなかった?

大学の学部では建築専攻だったんですが、大学院は情報系に進んだので、デジタルファブリケーション(デジタルデータを基に3Dプリンタやレーザーカッターで行うモノづくり)の仕事がしたいと元々思っていたんです。ちょうど昨年、妻が「さかわ発明ラボ」の協力隊の募集を見つけてくれて、「あんたはもう、ココや!」と(笑)その後、ラボの体験会に足を運んでみて、気に入ったので応募しました。

― おお、奥さん、めっちゃ頼もしいじゃないですか。

ちなみに、ここの採用を受ける際に「奥さんは来ないの?」という話になって、後日妻が観光のミッションに就くことが決まりました。

なんと! 最初からご夫婦で、という流れではなかったんですね。今は具体的に、どんなお仕事されてるんですか?

自分の主な業務は、「さかわ発明ラボ」に寄せられるお客さんからの依頼、デザインや企画のオーダーをカタチにすることです。町内外のクライアントから色んな依頼があるので、すごくやりがいがありますよ。地元のドッジボールチームのプラカードに、隣町の地形図を基にした木製のジオラマ、町内の集会所の看板にと、役場を通じて紹介される案件以外も多々あって。ここは機材も充実しているし、デザインや教育など、様々な専門性を持った協力隊員が集まっているので、学びもたくさんあります。

さまざまな発明に子どもたちも興味津々

すごい。でも、着任数か月で既にそれだけ手掛けているとなると忙しそう。

納期に応じてちょこちょこと大変な時はありますが、設計事務所にいた頃よりはかなりゆとりができました。夫婦で過ごせる時間も増えて、気持ち的にも余裕がありますね。

それは何よりです。生活で困ったこととかってありますか?

初めての田舎暮らしですが、そんなに不便を感じることはないかなぁ。あんまり自信のなかった運転も、毎日狭い山道を走るので大分鍛えられました。ただ、それでちょっと良い気になっちゃって……先日、帰省先のすごく狭い場所で切り返しに失敗して、ガードレールふっとばしたんですけど。

— あるあるです。クネクネ道に慣れたからといって、運転技術全般が上がるわけじゃない……でも、公用車じゃないだけまだマシです(ポジティブ)

あとはやっぱり、湿気ですかね。タイミング良く新築住宅を借りることが出来たので、家自体は快適なんですけど。この間、洗面台に置いておいたメガネケースをふと見たら、真っ白に……。

おおう……先日も「替えた畳が半年でカビた」という隊員の被害を聞いたことがありますが。こちらでの人付き合いは、どうですか。

「スーパーの中で、こんなに知り合いに会うもの!?」というのにまず、ビックリしました(笑)それとちょっと意外だったのは、神戸に居た頃よりも同世代の人との付き合いが増えたことですね。当時は仕事中心の生活で、日常で関わるのは年の離れた人ばかりだったんですが、佐川町は卒業生も含めて協力隊の人数が多いし、みんな若くて。協力隊以外の移住者の方々も、全体的に若いですね。

田舎=高齢者ばっかり、とは限らないわけですね。では、これからやりたいことを教えてください。

プライベートでは、ラフティングやロッククライミング、釣りみたいなアウトドアの遊びがしたいですね。活動としてはラボのツール、特に大型の木材を加工できる機械をもっと使いこなせるようになるのがひとつ。あとは、自分の専門である建築に軸足を置いて、デジタルかアナログかを問わず、時代の変化に合わせた柔軟なものづくりを追及したいですね。ここならではの土地柄、ローカルさもうまく取り入れられればなと。

ワクワクするお話で、もっと聞きたい! ちなみに、そんな上川さんの新しい人生を決めた奥さまは、どこでつかまえたんですか?

それは話すと長くなるんですけど……(略)と、まぁどっちかといえば、自分がつかまえられちゃった感じです(笑)

さすが! これ、記事にしたら怒られるかなぁ(笑)

<イチ押し!うちの地域自慢>

「牧野公園」

上川さん:佐川町出身の植物学者・牧野富太郎にちなんだ公園で、妻とよく散歩に行きます。季節によって変わる様々な植物は綺麗だし、頂上からの見晴らしも素晴らしいですよね。

立花:気持ちの良い場所ですよね、桜の時期はにぎわってるし。

上川さん:元々植物に興味があったんですが、移住してからさらに好きになって、牧野植物園(高知市)の年間パスポートも買っちゃいました。